I'llBe There
. I'llBe There:マライヤ・キャリー、天のマイケルに捧げる。
愛があれば、
僕はそこにいるよ
君に手を差し伸べて、君のすること全てを信じるよ
僕の名前を呼べばそこにいるよ
君を慰めるためにそこにいるよ
君を見つけて本当に良かった
強い愛でそこにいるよ
君の力になるよ
手はきっと離さない
君の心を喜びと笑顔でいっぱいにして
一緒にいること、それだけが願い
僕の名前を呼べばそこにいるよ
君を守るためにそこにいるよ
君を尊敬する無償の愛をもって
僕の名前を呼べば
僕はそこにいるよ
分るでしょう そこにいるよ そこにいるよ
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__ 朝食 __
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薄曇り色の朝、いつもより少し早い5時。
ねずみ色した雲の中から、一番始めに零れ落ちて、ポツンポツンポツンと3回屋根に撥ねた音で目が覚める。目覚めるっていうけれど、瞼を開ける前に音のほうが先に感じた朝だった。耳覚めるって言った方が、しっくりくる。
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昨夜の七夕の夜。窓から流れてくる風がやさしく手足を触れてくるからその心地よさに、みちるは、そのまま身をまかせて目を瞑った。
閉じた瞼と髪の上を、おぼろげな月明かりが影を揺らす
雲の隙間が天の川のようにゆるやかな波を描き空が開き、その隙間から紺碧の空間に吸い込まれていった。
空の上で見た夢は遥かなる光に似て眩しかった。
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いつの間のか漆黒の時を刻む夜の闇の奥から、小さな光が零れ始めると、徐々に色づきが段階を帯び広がり、今日という名の湿度の多いねずみ色した朝の色を映し出していく。
夕べみちるの全身を包み込んだあの心地よい風は、跡形もなく姿を消し、新しい朝は小さな無形の何かをベランダに落としては小さな丸い跡つけていた。
小さな光の雫が跳ね返る音と、夏の雨の匂い。昨日の空気の中に入り混じった土埃りを一気に洗い流していく。
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ちゃぷん。とベットの中の水を緩く揺らしてして、静かに起き上がる。なんとなく泥棒猫みたいに息を潜めて、足の音を消して、隣から聞こえてくる寝息のリズムを崩さないようにと神経を遣う。
理由はない。ただなんとなく、いつも無意識の中で、悟さんの寝息のリズムを崩すのはいけないことのようにみちるは感じてしまう。ただそれだけのこと。
雨でベットを濡らさないように、そっと窓を閉めて、いつものように、静かに寝室を出た。子供部屋の開け放たれた窓も一つ一つ丁寧に閉めて、寝顔を確認してから、階段を下りていった。
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TVからはマイケルの追悼式の映像が繰り返しずっと流れていた。
イタリアで始まったサミットの話題も耳には入ってこなくて、マライヤの空に届く女神のような美しく澄んだ声で歌う I'llBe There....という言葉が、まだ寝起きの空っぽの心に響いた。
さっき見た雨粒みたいに瞳から涙がわいてきては頬をつたう。ライオネル・リッチーの慈悲深い歌声に包まれて、火にかかったお味噌汁の鍋の中にも、頬から涙がこぼれ落ちた。
料理に涙は邪魔にならなかったから、あえて止めることもせずに、きゅうりを刻み、戻したわかめを、ツンとした琥珀色の液体と混ぜ合わせて、酢のものを作りながら、パリスちゃんのパパへのお別れの愛の言葉を聞いた。
涙の朝食作りが、みちるとマイケルとのお別れの儀式だった。
お味噌汁の湯気の向こうにマイケルが見える。
あなたの真実が浮かび上がった朝。
パリスちゃんの一言が彼の真実。
彼は孤独感も寂しさもない穏やかで安らかな世界で、これからも世界中の人々の心を救い永遠に生き続ける。
偉大なマイケルよ永遠に.........。
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あなたはようやく神に戻れたのね。
みちるはそう呟いた。
テーブルに朝食が並べ終わる頃、子供達のバタバタと騒々しい階段を走る足音が近づいてくる。
「おはよう。」
と笑顔で微笑みながら、いつもの朝が始まる。
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今日のお味噌汁に涙の味がすることを誰も知らない。
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